2018年12月17日:平成31年度与党税制改正大綱が発表されました。

こんにちは。
シグマライズの税理士の山本三四郎です。

先日12月14日に、自由民主党と公明党から「平成31年度税制改正大綱」が発表されました。

税制改正大綱とは、翌年度以降に実施する、増税や減税、新税の導入等といった税制の改正案をまとめたものをいいます。
毎年12月上旬に与党税制改正大綱が決定し、12月下旬に与党税制改正大綱をもとに政府が税制改正大綱を作り閣議決定します。そして、翌年1月に通常国会に提出され、3月までに法案成立・公布、4月以降に改正された税制が実施されるといったのが大まかな税制改正の流れとなっています。

税制改正大綱では、「税制改正の基本的考え方」、各税目ごとの「税制改正の具体的な内容」、「検討事項」が記載されおり、平成31年度与党税制改正大綱は122頁あります。税制改正大綱は誰でもネットで簡単に閲覧できるようになっています。(過去分の税制改正大綱、税制改正に関する法律等も財務省のホームページで閲覧できます。)

今回の平成31年度の与党税制改正大綱で、改正の主要項目及び今後の税制改正に当たっての基本的な考え方として下記7つがあげられています。
①消費税率の引上げに伴う対応等
②デフレ脱却・経済再生、地方創生の推進
③車体課税
④都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構造
⑤経済社会の構造変化等を踏まえた税制の検討
⑥経済活動の国際化・電子化への対応と租税回避・脱税の効果的な抑制
⑦円滑・適正な納税のための環境整備

②のデフレ脱却・経済再生、地方創生の推進では、イノベーション促進のための研究開発税制の見直し、個人事業者の事業承継に対する支援等が主な内容になっています。
「イノベーション促進のための研究開発税制の見直し」は、少子高齢化が中長期的に経済成長を制約する要因となる中で、持続的な成長経路を実現していくためには、イノベーションの強化など生産性の向上により、潜在成長率を高めていくことが重要である。との考えから、研究開発投資の増加インセンティブを強化し、研究開発投資の多様化、質の高い研究を支援するため、研究開発税制の見直しが検討されています。

また、今回の税制改正大綱において、個人に関する税制の改正としましては、「住宅ローン控除の控除期間延長」、「自動車税の減税」等があります。これは、平成31年10月に予定されている消費税増税に伴う需要変動を平準化するための措置として改正が検討されて内容になります。このように、主要な税目の税率変更等大きく税負担が変動する場合には、他の税制の改正、新税の導入等によって税負担を一時的に低減させることが検討されるというのはよくあります。

税制改正は、単に改正内容だけみると改正する理由がよくわからないものがあります。しかし、税制改正大綱等で改正検討の背景や他の改正との関連性を知ることにより、より日本の税制に関する理解が深まると思います。是非一度税制改正大綱を読んでみてはいかがでしょうか。

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