2018年11月13日:転職には思考法がある。

こんにちは。

シグマライズの税理士の山本三四郎です。

現在、日本では2人に1人が一度は転職する、そんな時代に突入しています。しかし、転職についてのノウハウは誰も教えてくれません。

転職を考えた時、多くの人はとりあえず転職エージェントに相談し、転職エージェントから次から次へと紹介される企業の中から自分の希望に合いそうな転職先を決めているのではないでしょうか。しかし、転職を考えた時に本当に求めていることは、転職先を単に紹介してもらうことではなく、「今後自分のキャリアをどう築いていけばいいのか?」、「一生食べていくにはどうしたらいいか?」といった長期的な視点に立った問いへの答えやアドバイスではないでしょうか。

「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む『転職の思考法』」では、この本質的な悩みに答えを提示してくれています。

本書は、今の会社で働き続けることに漠然とした不安を抱えるサラリーマン青野が、経営コンサルタントの黒岩から「転職の思考法」を学び転職活動を行っていく、というストーリー形式になっていますのでとても読みやすいです。
本書では「転職」というワードを使っていますが、企業や業界選びの考え方、就職先に困らない人になるための知識を得られる本になっており、転職を考えている社会人だけでなく、これから就職活動を行う学生にも是非読んで欲しい一冊です。

【自分のマーケットバリューを測る】
転職を考えた時に、まず転職エージェントに頼むのではく、本書では始めに自分の「マーケットバリュー」=世の中からみた自分の価値・値段を理解する必要があるとしています。

では、その「マーケットバリュー」というのが、どのように決まっているのでしょうか。マーケットバリューは、「技術資産(専門性と経験)」、「人的資産(人脈)」、「業界の生産性(一人当たりの価値創出)」の三つの要素から決まります。その中でも、「業界の生産性」がマーケットバリューに最も大きく影響を与えるので、自分のマーケットバリューを高めるには、生産性の高い業界又は今後成長が見込まれる業界に身を置くことが重要とされています。
本書では、「自分のマーケットバリューを測るための9つの質問」が提示されており、自分のマーケットバリューが現在どの程度なのか気になった方は一度確認してみてもいいかもしれません。

【会社選びの三つの基準】
・マーケットバリュー
・働きやすさ
・活躍の可能性

会社選びの基準として、大多数の人はこの三つを基準を基に会社を選べば良いですが、成長環境をより求める人と、安定だけを求める人とでは、基準は若干異なることになります。

「働きやすさ」と「活躍の可能性」については、自分が求めていることをまず明確にし、どんな情報があれば判断できるか整理しておくことも重要です。
自分がその会社で活躍できるか否かは若い転職者にとっては特に重要で、その点は厳しく見極める必要があります。見極める方法の一つとして、面接の時に聞くべき質問を本書では例示しており、その質問の回答で自分が社内で活躍できるイメージを持てるかどうか判断した方が良いでしょう。

【新卒で入るべき会社と、中途で入るべき会社の違い】
会社には、「新卒で入るべき会社」と「中途で入るべき会社」があり、それぞれ違いがあります。
本書は転職がテーマですので、中途で入るべき会社についてメインに述べており、中途で入るべき会社のポイントを二つあげています。それは、「中途を重宝できるカルチャーがあるか」、「自分の職種が会社の強みと一致しているか」という点です。転職後出世したいのであれば、中途社員で過去に出世している人がいるかどうか、役員が新卒者で占められていないか、最低でも現在の役員の経歴は調べた方が良いかと思います。

【ほとんどの人に、「やりたいこと」なんて必要ない】
本書を読むまで、私はずっと「やりたいこと」を探していました。そして、いつか本当に「やりたいこと」が見つかるだろうとも思っていました。しかし、本書では、重要なのは「やりたいこと」を見つけることではなく、どうしても譲れないほど「やりたいこと」など、ほとんどの人間にはない、ということに気づくことであるとして、「人生でやりたいことを見つけなければいけない」という一種の呪縛に結論を出してくれています。

世の中には「to do型」と「being型」といった2パターンの人間が存在しています。「to do型」と「being型」は、どちらが良いや悪いではなく、何を重視するかといった価値観の違いによって判別されます。そして、ほとんどの人は「to do型」ではなく、「being型」に該当します。やりたいことに重点を置く「to do型」に対し、どんな人・状態でありたいか重点を置くのが「being型」です。そして、「being型」の人間が仕事を楽しむためには、「自分のマーケットバリューを高めること」、「自分に嘘をつく機会を極力減らすこと」が重要としています。
自分が「being型」だと感じ仕事を楽しめていない人は、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか。

【最後に】
「転職」というと、まだまだネガティブな印象を受ける方のほうが多いと思います。しかし、転職を悪と捉え、今の会社にしがみつこうとする方が会社に対して悪影響を与え、自らの人生においてもマイナスとなります。転職は善ではありませんが、「転職も一つの選択肢」であると捉えることができれば、より自由になり、そして会社も社員を惹きつけようと、より魅力的に変わっていくでしょう。
重要なのは「いつでも転職できる状態」に身を置くこと、そのためには転職というものを正しく理解しておくことが必要となります。本書は、世に溢れる転職情報を見極める「思考の軸」=「思考法」を教えてくれる一冊となっていますので、是非ご一読することをおすすめします。

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