2018年11月8日:「人事評価制度」の要点

こんにちは。
シグマライズの税理士の山本三四郎です。

「自分の頑張りを会社はちゃんと評価してくれているのか?」
「なぜあいつの方が先に出世するのか?」
「結果も出したはずなのに、なぜこんなにボーナスが低いんだ?」
企業に勤められている方なら一度はこんな不満を持ったことがあるのではないでしょうか。

「なぜ若く有望な社員が辞めていってしまうのか?」
「会社は正しく社員を評価・教育できているのだろうか?」
「業績が好調な他社はどのような人事評価制度を採用しているのだろうか?」
企業の人事担当者は、こういう不安を感じたことがあるのではないでしょうか。

従業員においては、昇給・昇進・異動・解雇等、会社人生の全ては「人事評価」によって決まるといっても過言ではないでしょう。評価が高ければ昇進し、給与も上がりますが、逆に評価が低ければ、給与も下がり、最悪の場合解雇さえもあり得ます。
会社においては、「人事評価制度」が不当であれば、多くの従業員は不満を抱き、モチベーションが下がり、パフォーマンスの低下や自主退職につながります。そうなれば、業績も下がり、経営にも悪影響を及ぼすことになります。

従業員の人生から会社の発展・存続まで、「人事評価制度」が重要な要素を担っていると言えますが、従業員において会社の「人事評価制度」がどうなっているかを正しく理解している方は少ないように感じます。また、会社においても「人事評価制度」の構築・運用に悩まれている人事担当者は多いのではないでしょうか。
そこで今回は「人事評価制度」について、要点を端的に解説していきます。

【人事評価制度とは】
まず、人事評価制度とはいったいなんなのでしょうか。

人事評価制度とは、評価基準=「会社が従業員に求めていること」を明示し、評価制度=「評価基準と従業員の現状を照らして乖離を確認」し、給与制度=「給与・賞与の査定」に結び付けると同時に、教育制度=「評価制度により明らかになった乖離を埋めていく」といった一連の組織の体制を指します。

人事評価制度は、会社が従業員に求めていること=「評価基準」をまず明確にすることが重要となります。このような話をすると「評価基準が何もないのでまず作ろう。」とおっしゃる社長さんがいますが、一人会社でない限り、評価基準が全くないという会社はありません。たとえ社長一人、従業員一人の会社であって明文化された評価基準はなくとも、社長はその従業員に対する評価を「社長の頭の中にある基準」で決めています。それがその会社の評価基準です。人事評価制度は、この「社長の頭の中にある基準」=評価基準を明確にし、従業員に伝えることから始まります。

【人事評価制度の役割】
「人事評価制度」の企業における役割はいくつかあり、単に従業員の賃金を決めるためだけの制度ではありません。
人事評価制度は、従業員に不十分な能力を認識させ成長を促し、成果を適切に給与に反映させて生産性の向上を図り、企業の業績アップに繋げるといった役割を担っています。

人事評価制度の評価項目や基準は、会社によって異なりますが、会社のビジョンや理念、会社の目指す方向性や会社が求める社員像を反映しているという点では共通しています。社員の成長は企業の成長に繋がります。しかし、会社が求める社員の成長の方向性と社員の成長が同じベクトル上になければ、企業業績のアップに繋がりにくいのも確かです。

人事評価制度では、その成長のベクトルを合わせていく役割もあり、企業と従業員の双方にとって重要な制度と言えます。

【人事評価制度のポイント】
人事評価制度における評価基準は、会社のビジョンや理念、目指すべき方向性により決定しますが、その運用には従業員の納得感が得られなければ、従業員のモチベーションは上がりません。

例えば、評価の基準・方法・時期等が明確で、従業員にちゃんと共有されていなければ、どういう行動が評価に結びつくのかが分からず、人事評価だけでなく会社への不信感にも繋がる恐れがあります。また、数値化された結果だけではなく、プロセスも加味した評価にしなけれれば、目的達成に向けてすべき行動が明確になりません。より会社と従業員の成長の方向性を一致させるためにもプロセスを加味した評価にすることが求められます。

人事評価制度は、従業員のモチベーションを高め、パフォーマンスを向上させる一方で、正しく構築・運用できていなければ、逆に従業員のモチベーションを低下させ、企業の業績悪化にも繋がる可能性もありますので、構築・運用には注意が必要です。

【まとめ】
「自分は会社から正当に評価されていない。」と感じる従業員の方は、一度自社の「人事評価制度」がどのように構築・運用されているか確認し、会社が求める社員像と現在の自分のギャップを改めて確認してみるのがいいかもしれません。会社が評価する行動・成長の方向性とズレが生じている可能性が考えられます。

人事評価制度を運用している人事担当者の方は、自社の従業員のパフォーマンスや成長が会社の望んだ結果となっているか確認し、もし不足を感じているようなら、一度自社の人事評価制度を見直してみてはいかがでしょうか。

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